地星社のブログ

社会をよりよくする活動を行っている人や組織を支援する宮城の非営利組織、地星社のブログです。

住民の興味から主体性を育むコミュニティ支援〜仮設住宅の課題に共同で取り組む〜

*本記事は「ソーシャルライター入門講座」の受講生用のダミー記事です。講座で原稿を書く際のフォーマットを示しています。
*本記事は、取材相手が主語になっていますが、講座の原稿では取材相手を三人称にして記事を作成してください。

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▲音楽サークルなどの活動も活発に行われている

 石巻じちれんは、「孤独死をなくそう」を合言葉にして、仮設住宅の自治会長や役員で発足した連合会を母体に、2016年に設立されました。集会所の利用促進事業や、集約拠点仮設住宅でのお茶会開催を通してコミュニティ形成支援を行っています。

団体情報

団体名 一般社団法人石巻じちれん
所在地 石巻市のぞみ野4丁目23番地
電話番号 0225-22-0223

取材日:2018年12月3日
取材・文:本田ふみ

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▲つながりパートナーパルでは宮城県難病患者の会と交流研修を行った
共同で課題解決を目指すため団体を設立

 石巻じちれん(以下、じちれん)設立のきっかけは、震災があった2011年に日本カーシェアリング協会の吉澤代表理事と仮設万石浦団地の後藤自治会長(当時)の呼びかけで渡波第一、第二、万石浦、大橋、水押球場仮設の5つの自治会役員が集まったことでした。そこでは、いかに孤独死を出さないかということと、仮設で生活するうえでの問題点が話題にのぼり、個々で解決するよりも連合を作ったほうが早期解決になるのではないかということで石巻仮設住宅自治連合会が発足しました。

 その後、問題解決のために市役所等との話し合いを持ちましたが、苦情のはけ口のような形で会議が進んでいき、解決しなければならないことが不明瞭となることがしばしばありました。より建設的な場を持つために市立病院や警察、社協や石巻専修大の先生などが集まり、2012年に石巻仮設住宅自治連合推進会を発足させ、2013年には県の助成金の獲得のために連合会と推進会を石巻仮設住宅自治連合推進会に統一しました。法人格をとったほうが助成金をとりやすいということもあり、2016年1月に一般社団法人石巻じちれん設立に至りました。

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▲緊急時の連絡先として「つながりカード」への登録を呼びかけている
仮設住宅の集会所でコミュニティ形成

 新蛇田第一と立野第二など、のぞみ野地区(注1)の集会所の管理運営を中心として、集会所を利用したコミュニティ形成促進に力を入れています。

 仮設住宅での孤立防止を目的にお茶っこ交流会を2016年から行いました。それ以前は仮設自治連合会や支援団体が来ていたので、常に誰かしらが集会所を開けている状況にあったのですが、集約時期に入ると仮設の集会所を開ける人がいなくなり、どうしたら集会所を開けることができるかという課題がでてきました。当団体では鍵開けのノウハウや信頼がありましたので、週1回でも集会所を開けようと、宮城県の助成金で仮設住宅のお茶会を実施しました。当初17か所で実施していましたが、仮設住宅の閉鎖に伴い現在は3か所に縮小しています。

 もしも自分の身に何かあった場合に緊急連絡先を見て家族などへ知らせてもらえる「つながりカード」を作成しました。これを誰がどうやって普及するかが課題でした。最初は仮設住宅、公営住宅の自治会長や役員にお願いできればと考えていましたが、ちょうど仮設住宅の人が減少する時期で、声をかけられる人材がいない状況に陥りました。そのため発想を転換し、住民を対象にして勉強会を実施することにしました。

 仮設住宅に住んでいた時から長い付き合いのある方々から「今一番不安なのは認知症です」「自分が認知症になるのが怖いです」というご意見をいただき、認知症を正しく知るために講座を開きました。そこで、せっかく集まったのに認知症の講座だけではもったいない、ということで他にも障がいやアルコール依存症、地域情報など自分たちで知りたいことを学ぶ機会を持ちました。

 

注1…石巻市最大の防災集団移転地で、約3200人(2018年9月末時点)が居住する地区。