地星社のブログ

社会をよりよくする活動を行っている人や組織を支援する宮城の非営利組織、地星社のブログです。

誰もが集まれ、楽しく過ごせる新たな地域の「居場所」

 地域の子どもたちに温かくておいしい食事を提供している「いわぬま・こども食堂+」は、2018年2月にスタートしました。今、岩沼に新しいつながりを生む場として定着しつつあるこども食堂+には、どのような人が参加し、どのように運営しているのでしょうか。その取り組みを紹介します。

取材先:坂本久子さん(いわぬま・こども食堂+ 代表)
取材日:2019年11月28日
取材・文:稲垣智子

 安心して楽しく食事ができる場

 「いわぬま・子ども食堂+」(以下、子ども食堂+)は、毎月1回、みやぎ生協岩沼店で開催しています。住む場所、年齢、性別、収入を問わず、参加資格は誰にでもあります。
 会場に入ると、3つの長テーブルに所狭しと並ぶ料理が目に入ります。この日のメニューは、メンチカツ、かぼちゃの煮物、ふろふき大根、鮭と野菜の石狩スープ、カラフル野菜サラダ、唐揚げ、シュウマイ。出来立ての温かいものをバイキング形式で提供しています。参加者は好きな料理を好きなだけ盛り付け、その日初めて会った人たちとも同じテーブルを囲み食事をします。
 初めての参加者にもボランティアさんたちが声をかけ、話をするきっかけを作り、参加者同士が打ち解けやすい雰囲気づくりをしています。この日初めて参加した豊田さん親子は、「誰でも参加できると友人に勧められて来ました。「忙しくて食事を作る時間がなく、低価格でおいしい夕食をとれて、とても助かりました。また参加します」と話してくれました。また小学2年生の女の子は、「何度も来ている。ご飯もおいしいし、友達と遊べるから楽しい」と話し、会場の片隅のお絵かきコーナーで遊んでいました。子どもたちが遊んでいる間、親たちは食事をしながら大人同士の語らいを楽しみ、子どもも大人も初対面の人とも臆することなくコミュニケーションをとっています。取材者がお話を聞いたみなさんからは、見知らぬ人もすぐに受け入れ、思いを素直に話している印象を受け、ここが安心して楽しく過ごせる場所となっていることが分かりました。

 

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△初めて参加した豊田さん親子とボランティアスタッフ

住みよい地域を作るきっかけづくりの場として

 スタート以来、毎月1回の開催日には、常に50~60名の参加者があります。食材のほぼすべてが寄付によってまかなわれ、この日買った食材はドレッシングだけで、その購入資金も寄付によるものです。ボランティアスタッフや近くの農家の協力で食材の寄付は多く、食材を集めるのに苦労することはないそうです。多くの寄付により、食事だけではなく参加者が持ち帰るお菓子やみかんといったお土産も用意されます。さらに、いただいた食材を無駄なく活用するために、近隣の子ども食堂3団体と連携し、余った食材を譲り合ったり、情報の共有をしたりと協力体制を築いていて、一団体の取り組みから地域全体の取り組みへと広げています。

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△支援の思いが集まった温かい夕食

 このように子ども食堂+は、子どもたちだけではなく、子どもたちを取り巻く多くの人たちにも関わってもらい、地域に住む人たちが新たなつながりを作る場になろうとしています。「ここが地域の横のつながりを作り、より安心して生活できる環境づくりのきっかけの場所となることを望んでいます。今通っている子どもの親御さんたちが子ども食堂+の運営に関わるようになり、今通っている子どもさんたちが親になっても通ってくる、そんな将来を思い描いています。参加者のみなさまの笑顔を見るのが楽しいです」と代表の坂本さんは言います。子ども食堂+の取り組みは、未来も見据えて、関わる人の輪を広げようとしています

 

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△会場のあちらこちらで新たなつながりがうまれている