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地星社のブログ

社会をよりよくする活動を行っている人や組織を支援する宮城の非営利組織、地星社のブログです。

ブログによる情報発信とその影響

こんなことを考えた

 地星社ももっと情報発信していこうということで、7月15日からブログを更新してきました。8月末までは、平日毎日更新するということを個人目標として掲げていて、どうにか今回でそれは達成できました(けっこう大変でした…)。

 ブログを更新していると、気になるのはアクセス数です。毎日更新すればアクセスが伸びるかと思っていましたが、自分としてはびっくりするくらいアクセスが増えません。地星社のフェイスブックや私個人のフェイスブックで記事を紹介すれば100を超えるときがあるくらいで、本当にどこでも紹介しないとアクセス数は10くらいだったりします。

 ブログのアクセス数のことについては、だいぶ昔にこんな内容のことを読んだことがあります(なにぶん昔のことなので、正確な表現ではありませんが、だいたいこんな感じでした)。

「一般人が日常生活をおもしろおかしくブログに書いて、1日あたりのアクセス数が1万なのと、国際関係の専門家が世界の政治情勢分析のブログを書いて、読者はたったの3人。しかし、その3人の読者がアメリカとロシアと中国の政府高官だったら、どちらのブログの方が影響力があるか?」

 3つの国の政府高官の意思決定に影響を及ぼすのであれば、ブログのアクセス数は少なくても後者のブログの影響力はかなり大きなものです。そう考えると、読者が少なくても、その読者がどのような人で、伝える内容がどのようなものかによって、社会に対して大きな影響を与えうるといえるでしょう。

 地星社のブログについても、中間支援NPOや助成機関の方から「ブログ、読んでますよ」と声をかけられることが増えてきました。今のところそれで何か社会に影響が出ているわけではありませんが(笑)、業界関係者に読んでいただけるのはありがたいことです。ここに書いたことを何かに反映させていただけるかもしれませんし、今後の仕事につながるかもしれません。少なくとも、地星社はどういう考えにもとづいて活動を行っているかを知っていただくことにはつながっていると思います。

 単にアクセス数を増やすだけなら、増やす手だてはたくさんあります。それよりも、誰に何を届けるか。そこを大事にしつつ、また、想定外のところに届くこともあるので、そうしたことも楽しみながら、ブログの更新を続けていきたいと思います。更新ペースは落としますが、今後私以外の地星社関係者も登場する予定なので、お楽しみに。(布田)

調査の資金をどう調達するか—社会調査のための助成金

NPOと助成金 NPOと社会調査

 NPOにとっての調査の重要性については、以前から言われていたことだと思います。とは言え、調査をするにあたっての資金をどう工面するのかというのは現在に至るまで頭の痛い問題です。調査に使える助成金はそれほど多くはありませんし、調査は一般的に地味なものなので、社会の関心の高いテーマならともかく、多くの場合寄付を募るのにも苦労しそうだからです。

 2009年のことでしたが、せんだい・みやぎNPOセンターの助成プログラム「みんみんファンド」では、調査に特化して助成事業を公募しました。「みんみんファンド」は特定のドナーがいなかったので、チャレンジングなことがやりやすかったのです。加藤哲夫さんと私とで、調査は大事だから今年はそれでやろうと言って決めたように記憶しています。また、公募を始めるにあたり説明会を行い、東北大学の西出優子先生に市民調査についてレクチャーしていただきました。

 さて話を現在に戻します。間もなく募集が始まるトヨタ財団の国内助成プログラムは「しらべる助成」「そだてる助成」の二本立てで、「しらべる助成」はその名の通り調査に特化した助成プログラムです。9月1日には公募説明会と合わせて、首都大学東京の玉野和志先生による社会調査入門講座も行われるとのこと。助成プログラムに応募する、しないにかかわらず、東京近辺の方はぜひ参加してみるとよいのではないでしょうか。

www.toyotafound.or.jp

 

 今回紹介した「みんみんファンド」も「しらべる助成」も説明会で単発の社会調査のセミナーをしますが、何回かに渡る連続セミナーと助成プログラムを組み合わせてもおもしろいと思います。社会調査セミナーで実習も行い、調査結果を元に事業計画を作成、提出すると助成プログラムの審査で優先されるなど。どこか企画してくれないものでしょうか。

 調査に利用できる助成プログラムが今後増えていくことを期待しつつ、地星社でも調査の資金をもっと集められるようにしたいです。(布田)

小規模多機能自治というソーシャル・イノベーション

こんなことを考えた

 8月26日はIIHOEの川北秀人さんによる小規模多機能自治の勉強会でした。地星社も協力団体として開催にかかわりました。川北さんのブログから当日の発表資料をダウンロードできます。

 小規模多機能自治をごく簡単に言うと、「地域自主組織による課題解決型の住民自治」です。地域の人口減少と少子高齢が進みさまざまな課題に地域が直面する中、自治会・町内会よりも少し広い範囲(概ね小学校区の範囲)で住民組織をつくり、住民の創意工夫で地域課題解決の事業を行っていくというものです。

 川北さんからは、なぜ小規模多機能自治が必要か、さまざまなデータに基づく地域予測と、小規模多機能自治の特徴の説明、そして小規模多機能自治が進んでいる島根県雲南市などでの事例の紹介がありました。

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 それで思ったのは、そこで取り上げられた事例、例えば、雲南市の地域の住民組織が水道検針を受託して高齢者の見守り支援をしている事例や、ファミマと協定を結んで移動コンビニを走らせている事例、そして小規模多機能自治そのものも、今風に言えばソーシャル・イノベーションなのではないかということ。

 「イノベーション」というと、あたかも都会のスマートな人たちがITやバイオなどの最新テクノロジーを駆使して課題解決するみたいなイメージがあります。しかし、田舎の地域住民が知恵を絞って地域の困りごとを解決しているような、みんな気づいてないけれどそれって実はソーシャル・イノベーションなのではというものが、世の中にはけっこうあるのではないでしょうか。

 そういう地域の力に気づき、それをさらに広めたり、取り組みを進化させたりする役割が私たちにも求められていると思います。(布田)

リサーチ・クエスチョンを立てる③—「どうすれば」を「なぜ」に変換する

NPOと社会調査

 NPOが活動を行う場合の問いの立て方は「どうすれば〜できるか?」というパターンになることが多いと思います。

  • どうすれば、障害者が就労できるか?
  • どうすれば、住民主体の地域づくりができるか?
  • どうすれば、二酸化炭素の排出量を減らせるか? など

 「どうすれば〜できるか?」と問うので、その答えは「〜する」となります。原因ではなく、対策が答えとなります。改めて原因を突き詰めるほどのことでなければ、その通り実行してもよいでしょう。

  • どうすれば、障害者が就労できるか? → 障害者の就労訓練をする
  • どうすれば、住民主体の地域づくりができるか? → 住民同士のコミュニケーションを増やす
  • どうすれば、二酸化炭素の排出量を減らせるか? → 市民に啓蒙する など

 しかし、それが本当に実効性のある対策かどうかを確認するには、調査して原因を検証してみるべきです。そのとき、「どうすれば」という問いを「なぜ」に変換します。

  • なぜ、障害者はなかなか就労できないか?
  • なぜ、住民主体の地域づくりができないか?
  • なぜ、二酸化炭素の排出量が減らないか?

 これだと問いとしては大きいですから、問いを場合分けする必要があるでしょう。また、そもそも実態はどうなのかを調べる必要も出てきます。説明の問いから記述の問いにするわけです。

  • なぜ、障害者はなかなか就労できないか? → ◯◯市での障害者の就労状況はどうなっているか、年齢や性別での違いはどうか、障害の種類による違いはどうか、etc.
  • なぜ、住民主体の地域づくりができないか? → ◯◯市の地域づくり政策はどうなっているか、◯◯市の自治会はどのような活動を行っているか、etc.
  • なぜ、二酸化炭素の排出量が減らないか? → 産業別の排出量はどうなっているか、家庭からの排出の用途別内訳はどうなっているか、etc.

 そうして問いを分解して調査すると、意外な答えが見つかるかもしれません。そうすると、もっとピンポイントで効果的な対策をとれる可能性が出てきます。(布田)

加藤哲夫さんを偲ぶ

地星社のこと

 せんだい・みやぎNPOセンターの代表理事だった加藤哲夫さんが亡くなって、8月26日でちょうど5年になります。私も地星社を立ち上げる前、センターの職員として講座の開催や助成プログラムの実施、事務局運営など、加藤さんと一緒に仕事をする中で、多くのことを学ばせていただきました。

 加藤さんは非営利組織のマネジメント専門誌「NPOマネジメント」に毎回コラムを書いていましたが、すでに病床にあった2010年10月号で次のように書いています。

(加藤さんがせんだい・みやぎNPOセンターの仕事の価値をまわりの人に訊ねてみて)

「姿勢として、市民を信じている、市民には問題を解決する力があるということを信じている、そういう思いがひしひしと伝わってくる。心から市民の力を信じているという姿勢が伝わってこない人たちの支援などいらない。市民を、自分たちを信じてくれる人と組織がある、ということが光であり、希望だった」という声があった。指摘されてなるほどである。実は、私は職員に口を酸っぱくして、市民や活動している人たちをリスペクトしろ!と言い続けてきた。(中略)
 私自身は、エイズ問題のときに、日本の市民セクターの力不足に気づいたが、市民に絶望したわけではない。むしろ市民には問題を解決していく力があり、カギを握っているのは市民だという確信を得た上で、それを活かす社会システムと市民のエンパワメントのためにNPOセンターをつくるということを掲げたのだ。私は市民に光を見続けている。

 仕事への姿勢として、加藤さんから受け継ぎたいことはこれに尽きます。

 地星社では、活動における原則を次のように掲げています。

1. 信頼の原則
 人や組織には、社会を変える力が本来備わっていることを信じ、その力が活かされるよう後押しする。

2. 互敬の原則
 人を大事にし、互いに敬い合う関係性を築く。

 地星社が立ち戻る場所は常にここです。われわれもできていないことだらけで、加藤さんにご報告できるような成果もまだないですけれども、少なくともこうした姿勢を忘れることなく仕事にあたりたいと思います。(布田)

地星社の活動について

地星社のこと

 あれこれとブログ記事を平日毎日更新していて、気づくと地星社についてはほとんど書いていませんでした。地星社がそもそもどのような活動をしているのか、ちょくちょくこのブログでもご紹介していきたいと思います。

 地星社の事業分野は以下の3つになります。

  1. 相談・個別支援
  2. 調査・情報提供
  3. 人材育成・ネットワーキング

 団体の立ち上げ当初は、特に支援の軸は決まっていませんでしたが、最近は事業分野全体を通して、社会調査に力点を置いています。社会的な課題に取り組む上では、調査をすることが活動の起点になると考えているからです。また、地域づくり・地域福祉にかかわるものを支援の重点領域としています。

 それぞれの事業分野における今年度の事業は次の通りです。

 1では、主なものとしては、子どもの支援をしている団体が行う調査の支援、社会教育系団体が行う研修における記録と調査の支援、地域福祉団体の団体紹介冊子作成の支援などがあります。

 2では、宮城県内の沿岸被災地における地域活動団体の情報を集め、ガイドブックを作成します。

 3では、小規模多機能自治に関する自主勉強会をこれまで2回開催しました。今後は、エクスカーションも取り入れながら、住民主体の地域づくり・地域福祉に関する勉強会を行うことを検討中です。

 地星社の活動、特に①の相談・個別支援は、相手のあることですし、成果物として何か形になるまでは活動の様子を伝えづらいです。そうは言っても、日々の活動を伝える努力をしないと何をやっているか傍目にはまったくわからないですから、伝えられる活動をまずは増やしていきたいと思います。(布田)

エンパワーメントとは何か

こんなことを考えた

 以前、地域に根差した福祉の実践を長らくされているNPOの代表の方に、エンパワーメントについて伺う機会がありました。その方がおっしゃるには、エンパワーメントとは、「自分の言葉で社会に参画すること・自己決定することの手助けである」とのことでした。

 エンパワーメントとは何かということについては、ネットで調べてもさまざまな定義が出てくるし、分野や文脈によっても異なるでしょう。そうした種々の定義がある中で、上記の説明は私にはかなりしっくりくるものでした。

 支援をするということは、気をつけないと依存を生むことにもなってしまいます。社会的課題の解決・支援活動の名の下に「お客さん」を増やすだけの結果になるおそれがあります。その一方で、自立を妨げるということで、自立を強いたりするようなケースもあります。それはそれで問題です。

 では、支援とはどうあればいいのか。それを考えるときの一つの判断基準が「エンパワーメント=自己決定のサポート」かどうかだと思います。それを基準に据えると、支援者側が自分の役割をどう位置づけるかも変わってくるでしょう。(布田)