地星社のブログ

社会をよりよくする活動を行っている人や組織を支援する宮城の非営利組織、地星社のブログです。

母と幼子の孤立を防げ ~豊かなつながりと体験が生む「共育ち・共育て」~

 「ちびぞうくらぶ」は、地域の乳幼児を持つお母さんの孤立を防ぎ、子育て仲間が集うための場です。口コミで参加者が増え、さらに大学生、中高年者、障害者など、多様な人々との交流も生まれています。誰もがのびのびとして育て合い、成長する「共育ち・共育て」の場の今を紹介します。

取材先:三浦未穂さん(ちびぞうくらぶ 代表)
取材日 2019年11月7日
取材・文 石川湧香

子育てが「孤」育てにならないように

 取材にお邪魔すると、陽のさす会場に、たくさんの親子が集まっていました。スタッフと今日の企画を楽しむもよし、大学生のボランティアとおもちゃで遊ぶもよし。それぞれの親子が思い思いに過ごしています。奥では地域の中高年の方々がご飯を作り、お昼ごろになると障害者の方々が野菜販売に訪れ、にぎやかさがピークを迎えます。
 私たちを笑顔で出迎えてくれたのは,代表の三浦未穂さんです。持ち前の明るさとざっくばらんな話しぶりで、この場の中心になっています。三浦さんは現役の保育士で、8人のスタッフも皆、仕事の合間を縫って活動しています。
 三浦さんは、現在は子育てが「孤」育てに近くなっていることを心配し、「お母さんが玄関から出るきっかけを作りたい」と言います。そこで「ちびぞうくらぶ」は、乳幼児の母親が子育てについて語らい、ストレスを軽くし、情報の共有や相談ができる場づくりを活動の目的にしています。月2回の活動日には毎回20~30組の親子が参加し、2時間ほど一緒に過ごします。毎回の企画には、芋煮会など季節を感じるものや、子育てコーチングなど家庭では難しい活動を工夫して取り入れるなどしています。

 

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△「おひるねアート」で写真撮影。お母さんが楽しめるよう、毎回企画が練られている

多彩な人たちが「育ちあう・認め合う・支え合う」

 ちびぞうくらぶは、地域の高齢者や障害者の方々とも積極的に交流しています。「若いお母さんだけで集まって、お年寄りの知恵袋を知らないでいるのはもったいないよね」と三浦さん。「子どもに障害があって、不安になるお母さんもいる。近くの障害者施設の人たちに野菜販売に来てもらってるのは、障害者が自立している姿をお母さんに見てもらいたいから。障害は個性だと思ってほしい」。
 いろんな人が交わるからこその発見や感動。子どもを持つお母さんだけでなく、誰もが与え合い、一緒に育っていく。ちびそうくらぶはそれを大切にし、実現しています。「僕たちの方が遊んでもらってます」と言って子どもとたわむれる、大学生ボランティアの笑顔が印象的でした。

 

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△地域の中高年の方々が昼食を手作り。今日は芋煮だ!

 形にこだわらず、子育てに今必要なものを問い続ける

 ちびぞうくらぶには「~せねばならぬ」はなく、柔軟な体制になっています。途中参加・退出自由、急に行けなくなっても連絡は不要、企画などのスケジュールも強制しません。お母さんが気軽に来やすいようにするためです。
 また三浦さんは、この場はあくまで親子のための1つの機会でしかないのだからと、「(いろんなサークルを)ハシゴしろ、いろんな人とつながれ」とお母さんたちに伝えているそうです。今後についても、「これだけ大勢の人に広がっているから、しばらくは続けるけど。立ち上げた頃と違って、これからは子育て支援センターが市内に増えるから、そっちに活動を移してもらって、私たちは退いてもいいかなって。私個人としては、何らかの形で子育て支援にかかわっていこうとは思ってるけどね。」と、さらりと次を見据えていました。三浦さん自身のそんな柔軟な態度があるからこそ、ちびぞうくらぶはさまざまな人にとって居心地のいい場となっているのかもしれません。

 

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△子どもはみんな、小さな巨人。その思いが「ちびぞうくらぶ」という名前に込められている

 活動は、第1・第3木曜日の午前中、10:00~11:30(~12:30まで開場)まで。乳幼児の親子のほか、誰でも参加できます。入会費500円、参加費1回100円~です。気になったら、ちょっと足を運んでみませんか。