地星社のブログ

社会をよりよくする活動を行っている人や組織を支援する宮城の非営利組織、地星社のブログです。

「何かいい助成金はありませんか?」に答える前に②―ベースの事業はできているか

 私が助成金の相談や問合せを受けたときに確認する点として、その団体のベースの事業は何かということがあります。ベースの事業も、意味合いによって2種類に分けて考えています。

①ミッション的ベースの事業…団体のミッションや存在意義に直接的にかかわる事業。
②資金的ベースの事業…団体の資金的な基盤となる事業。資金的な安定度の高い委託事業や収益事業など。(ただし、②もミッションから大きく外れるケースは少ないと思います)

 ミッション的ベースの事業が資金的にも安定性が高ければ、ミッション的ベースの事業=資金的ベースの事業になります。ミッション的ベースの事業が資金的に成り立ちにくい(対価を得にくい、行政の委託事業になりにくい、寄付だけでまわせない、etc.)場合は、資金的ベースの事業をつくることも検討しなければならないでしょう。

 後者としては、例えば、住民同士の支え合いを掲げるNPOが、ミッション的ベースの事業としてボランティアによる生活支援サービスを行う一方、資金的ベースの事業として介護保険制度による訪問介護事業を行うといったケースが考えられます。

 私は、ベースの事業がまだしっかりしていない団体が助成金に申請する場合、ベースの事業の確立につながること以外は安易に手を出すべきでないと考えています。新たな事業を始めるのは団体を疲弊させ、ベースの事業の確立を遅らせるからです。だから、こうした団体が助成金を得ようとするのであれば、資金的ベースの確立を目指して、実績づくりやノウハウの蓄積ができるような事業で申請するべきでしょう。ミッション的ベースの事業が確立されていない団体であれば、なおさらまずはそこからです。

 助成金は、新規事業や先駆的事業に出やすいという特性があるから、申請する側はどうしても新たなニーズを探しがちです。すでにベースができている団体ならいいですが、そうでない団体の場合、新しいニーズをつまみ食いして、事業終了後に団体に何も蓄積されないままになる恐れがあります。このあたりは助成機関側の問題でもあるわけで、申請団体の成長段階がどのへんなのか見極めてほしいですし、新規事業・先駆的事業だからといって安易に評価しないでほしいと思います。逆に言うと、これまでの継続事業でも、社会のニーズに応えているなら助成していただきたいし、それに対してどう資金的ベースをつくっていくかという視点で助成機関にも考えていただきたいです。

 社会のニーズに応えていて、先駆的な事業であれば、助成金申請は通りやすいです。しかし、ベースの事業ができていない団体がそこに手を出すと結局誰のためにもならない結果になる可能性があります。

 かく言う地星社も、ベースの事業づくりはまだまだ途中です。助成金を取るにしても、まずはベースの事業をしっかりさせること。そこからやっていきませんか?(布田)