地星社のブログ

社会をよりよくする活動を行っている人や組織を支援する宮城の非営利組織、地星社のブログです。

リサーチ・クエスチョンを立てる①―記述の問いと説明の問い

 NPOが社会調査を行うということは、取り組んでいる(あるいは取り組もうとしている)社会的課題についてわからないことを明らかにしようということです。そこで、何を明らかにしようとするのか、調査にあたっての問いである「リサーチ・クエスチョン」を立てることが重要になります。

 リサーチ・クエスチョンの形式は大きく分けて2つあります。一つは、「~はどうなっているか?」という記述の問いです。もう一つは、「なぜ~なのか?」という説明の問いです。不登校をテーマにすると、例えば、記述の問いは「◯◯市の中学校での不登校出現率はどうなっているか?」、説明の問いは「◯◯市の中学校での不登校出現率が平成××年を機に急増したのはなぜか?」といったものが挙げられます。

 記述の問いは、実情を明らかにしようとするものなので、説明の問いよりは比較的明らかにしやすいでしょう。説明の問いは、因果関係、すなわち物事の原因に迫るものなので、明らかにするにはそのための方法が必要になります(のちほど改めて説明します)。NPOが社会的課題の調査をする上でより本質的な問いになるのは、原因探求である説明の問いの方です。そうは言っても、実態がよくわかっていないから対策が不十分である課題も多いですし、説明の問いを立てるにも記述の問いとその答えがしっかりしていることが前提となりますから、記述の問いもおろそかにはできません。

 リサーチ・クエスチョンをよりよいものにしていくためには、「問いを育てる」という観点が必要になります。先に社会調査の進め方を紹介しましたが、実際にはこの通りに段階を踏んで順に進むとは限りません。むしろ、仮説をいったんつくってみてからまた問いを立て直したりと、手順を行ったり来たりすることがしばしば起こります。文献リサーチや簡易なインタビューなどでアプローチできるような記述の問いはどんどん明らかにしていきながら、リサーチ・クエスチョンをより本質的なものにしていきます。

 とは言え、調査のプロジェクトをつくって実行するなどの本格的な調査をやるのでなければ、もっと気軽に自分の知りたいことをリストアップするくらいでも十分です。(布田)