最近、非営利セクターの界隈でも評価が重要であるということが盛んに言われるようになってきました。評価というものは基本的に、事業を実施した後(あるいはしている途中)でなされるものです。そのため、私も評価について考えるのは事業を実施した後になりがちでしたし、評価について学ぶのも後回しになっていました。しかし、この本を読んで考え方を改めました。評価のことは最初に考えておくべきで、事業計画を立てるときに評価のしくみも入れておいてこそ質の高い事業につながるのです。
「プログラム」とは何かということもちょっと説明しておきます。本書ではプログラムを「何らかの問題解決や目標達成を目的に人が中心となって行う実践的介入」としています。これには、政策、施策、事業、プロジェクトと、大きなレベルのものから現場の実践に近いものまで含まれます。
本書の第2部がプログラムのプランニングとマネジメントについての説明で、ここに多くの紙幅が割かれています。ニーズアセスメントやリソースアセスメントの方法などの他、今話題のインパクト理論(インパクト評価)についても書かれています。キーワードごとに端的に解説されているので、ここを読むだけでも事業計画を立てたり、助成金の申請書をつくるのにだいぶ役に立つでしょう。
評価というと、最近の風潮では社会的価値を測るため、アカウンタビリティのためというイメージがあるかもしれませんが、プログラムを改善し、支援の質を高めるためにも必要なものです。
評価に関する基本的な事項がまとまっているので、評価について一通り学びたい方におすすめの一冊です。(布田)
プログラム評価―対人・コミュニティ援助の質を高めるために (ワードマップ)
- 作者: 安田節之
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2011/05/23
- メディア: 単行本
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