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地星社のブログ

社会をよりよくする活動を行っている人や組織を支援する宮城の非営利組織、地星社のブログです。

それは本当に社会問題か?少年犯罪の例から

 前回は、問題となる客観的事実があるから社会問題となるのではなく、「それは問題だ」と社会的に認識されることで社会問題となるということについて書きました。つまり、客観的な事実があることと、それが社会問題となることは必ずしもイコールではないということです。だからこそ、見過ごされている問題に気づき、それを社会問題としていくことは重要なのですが、その逆のことも起こりえます。すなわち、問題とされる客観的事実はないのに、社会問題化しているという状態です。

 少年犯罪の増加、凶悪化という問題を例に挙げましょう。世の中では少年犯罪が増加・凶悪化していると感じている人が多い一方で、少年犯罪の統計を見ると、少年犯罪は増加も凶悪化もしていないという結果が出ています。このようなギャップがあることについては、すでに多くの識者が本や新聞・雑誌等で指摘しているところです。ネットで検索するだけでもたくさんの記事がヒットしますが、参考までに一つだけ記事を紹介しておきましょう。

gendai.ismedia.jp

 少年犯罪が減少しているにもかかわらず、増加しているように感じられるのは、少年犯罪が起きるとマスコミで大きく取り上げているせいかもしれませんし、報道のされ方がセンセーショナルだからかもしれません。いずれにせよ、感覚と現実の間にはギャップが生じることもあるわけで、私たちが社会問題だとして捉えていることが、本当にそのとおりに問題なのかはしっかり検証する必要があります。

 例えば、「少年犯罪が近年増加、凶悪化している、これは家庭や学校において道徳教育が疎かにされているからだ、だからNPOをつくって青少年に対する道徳教育を推進しよう」という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その前提は正しいでしょうか。ここではひとつの例として少年犯罪を取り上げましたが、こうしたことは社会の問題に取り組む以上、NPOの活動では常につきまとうことです。もしかしたら私たちが社会問題として取り組んでいることも、現実と大きなギャップがあるかもしれません。社会問題は人々の認識によってつくられるという性質を理解し、それがどのように問題化されているのか分析する視点が大事ですし、実際はどうなのだろうと調べてみることも重要です。(布田)