地星社のブログ

社会をよりよくする活動を行っている人や組織を支援する宮城の非営利組織、地星社のブログです。

NPOと社会調査

調査の資金をどう調達するか—社会調査のための助成金

NPOにとっての調査の重要性については、以前から言われていたことだと思います。とは言え、調査をするにあたっての資金をどう工面するのかというのは現在に至るまで頭の痛い問題です。調査に使える助成金はそれほど多くはありませんし、調査は一般的に地味な…

リサーチ・クエスチョンを立てる③—「どうすれば」を「なぜ」に変換する

NPOが活動を行う場合の問いの立て方は「どうすれば〜できるか?」というパターンになることが多いと思います。 どうすれば、障害者が就労できるか? どうすれば、住民主体の地域づくりができるか? どうすれば、二酸化炭素の排出量を減らせるか? など 「ど…

説明の問いへのアプローチ①ー因果関係を考えて仮説を立てる

リサーチ・クエスチョンの種類として、記述の問いと説明の問いがあるという説明をしました。記述の問いの場合は、「〜はどうなっているか?」という現状を問うものなので、必ずしも仮説を立てることは必要ではありません。記述の問いへのアプローチの方法に…

当事者との協働による、社会を変えるための調査—『参加型アクションリサーチ(CBPR)の理論と実践』

NPOが活動するにあたって、調査の重要性はさまざまなところで指摘されています。その言わんとするところは、「客観的な根拠に基づいて事業をせよ」ということでしょう。というのも、想いが強いばかりに、実態の把握が疎かなまま事業を企画・実施して、結果と…

市民が行う社会調査のために①—『新版 実践はじめての社会調査』

以前も書いたように、世に出ている社会調査のテキストのほとんどは、大学の社会調査の授業で使われることを想定したものです。そのため、NPOのスタッフや公務員といった実務家が社会調査について学ぶにはやや実践的ではないということがあり、実務家向けの社…

「何かいい助成金はありませんか?」に答える前に①—その社会的課題にその事業で効果はあるか

地星社では、助成金情報を一覧にまとめて提供していたこともあって、助成金に対する相談や問合せを受けることもしばしばあります。よく訊かれるのは、「何かいい助成金はありませんか?」という質問です。その団体が実施しようとしている事業にマッチする助…

情報収集に図書館を活用する—『図書館に訊け!』

情報収集は、ネットでほとんど済ませる方も多いことと思います。しかしこの本を読むと、図書館が持つ機能を情報収集にまだまだ活用してないと気づくでしょう。 本書では図書館を利用して情報を調べるポイントがたくさん紹介されています。著者は同志社大学の…

文献リサーチの方法①—論文・図書の探し方

社会調査をするにあたっては、参考になる資料を集めたり、先行研究を調べたりなど、文献リサーチをすることも大事になります。文献リサーチをすることで、リサーチ・クエスチョンを深めたり、最初に立てた仮説を見直したりすることにつながることもあるでし…

リサーチ・クエスチョンを立てる②—問いの立て方

「問い」が重要だと言われつつ、多くの社会調査のテキストでは問いの立て方についてそれほど詳しくは説明されていません。そこで、問いの立て方の方法として、新QC七つ道具から親和図法、連関図法を紹介します。それぞれの手法の詳細は、書籍やインターネッ…

課題の見える化のために②―『頭がよくなる「図解思考」の技術』

「課題の見える化を図ろう」とあちこちで言われていますが、では実際にどうやればいいかということに頭を悩まされている方も多いと思います。本書は、図解で情報を整理し、構造化するための方法を紹介したものです。図解と言ってもあまり難しいやり方ではな…

課題の見える化のために①―『新QC七つ道具の使い方がよ〜くわかる本』

QCとは品質管理(Quality Control)のこと。品質管理の手法の中に、QC七つ道具と呼ばれるものと、新QC七つ道具と呼ばれるものがあり、本書は後者の解説本です。 QC七つ道具はパレート図やヒストグラムなど、主に数値データを扱う手法です。それに対して新QC…

リサーチ・クエスチョンを立てる①―記述の問いと説明の問い

NPOが社会調査を行うということは、取り組んでいる(あるいは取り組もうとしている)社会的課題についてわからないことを明らかにしようということです。そこで、何を明らかにしようとするのか、調査にあたっての問いである「リサーチ・クエスチョン」を立て…

NPOの社会調査の進め方

NPOが社会調査を行う場合、どのように進めていけばよいでしょうか。これまで紹介した2冊の本では、調査の進め方を以下のように示しています。まずは『社会福祉調査入門』から。 実践から浮かび上がって来た疑問 ↓①研究や調査の目的を定める「現場の問題から…

調査にだまされず、調査でだまさないために—『「社会調査」のウソ—リサーチ・リテラシーのすすめ』

【ロサンゼルス4日=共同】(略)米紙ロサンゼルス・タイムズが4日発表した世論調査でこんな結果が出た。9月下旬、全米で1600人を対象に行ったこの調査では、健在の4人の前、元大統領のうちだれを支持するか、という質問に対し、35%がカーター氏、22%がレー…

NPOにとっての社会問題と社会調査

NPOの役割のひとつとして、社会の中で見過ごされている問題を見出し、解決すべき問題として世の中に訴えかけていくことが重要であるということを以前書きました。こうした、社会の中であまり見えてない問題を可視化していくには、社会調査は有効な方法です。…

ひきこもり調査をしてみての影響

地星社が実施したひきこもり調査の結果が、ダイヤモンドオンラインの記事で取り上げられました。私のコメントも出ています。 diamond.jp この調査は、NPO法人Switch(仙台市)が事業主体として行った岩沼市の若者の就労支援プログラムの一環として行われたも…

社会問題の捉え方:不登校の例から

以前に、社会問題は人々の認識によってつくられるということを書きました。認識によってできるということは、その問題がどう認識されるかによってその捉えられ方も変わってくるということです。一つ、例として不登校の問題を挙げましょう。 私は教育学専攻だ…

それは本当に社会問題か?少年犯罪の例から

前回は、問題となる客観的事実があるから社会問題となるのではなく、「それは問題だ」と社会的に認識されることで社会問題となるということについて書きました。つまり、客観的な事実があることと、それが社会問題となることは必ずしもイコールではないとい…

NPOの役割の一つは、社会問題をつくること

またも物議を醸しそうなタイトルの記事を書いてしまいました(苦笑) 「社会問題をつくる」というのは、◯雪◯ばぁねっとみたいに多額の使途不明金を出して新聞・テレビを賑わそうとか、そういうことではありません。 ここで言いたいのは、社会から見過ごされ…

(仮)NPOのための社会調査入門セミナー

※随時更新します プロローグ 社会問題の捉え方 NPOの役割・成果は、社会的課題の解決か? NPOの役割の一つは、社会問題をつくること それは本当に社会問題か?少年犯罪の例から 社会問題の捉え方:不登校の例から 第1講 NPOと社会調査 ひきこもり調査をして…